
納品間近になると残業当たり前… これじゃあ、結婚して子どもができたら到底続けることができません。インハウスデザイナーに転向して、もうちょっと楽になりたい!
こんな風に悩んでいる女性のWEBデザイナーは多いですね。
インハウスデザイナーの特徴
傾向があり、特に結婚した女性や、子どもが生まれたママデザイナーには人気があります。
ですが、メリットばかりではなく、デメリットも存在します。

この記事では、インハウスデザイナーのメリットとデメリットを、インハウス経験ありのプロのWEBクリエイターの私が解説します。『理想と違った!』ということが起こらないように、予備知識として入れておいてください。
インハウスデザイナーのメリット
冒頭にも書いたとおり、インハウスデザイナーのメリットは、平たくいうと「労働条件がいい」ということです。
納期に追われるWEB制作会社の場合、元請けでも下請けでも、同時に複数の案件を制作していたりして、けっこうハードで残業は当たり前、ということころが多いです。
一般企業内で働くので、営業や総務、経理、企画戦略など、様々な部署の社員がいます。その中の一員、という感じですね。
残業が少ない
一般企業は、働き方改革で残業減らす傾向にあります。働き方は会社の規約に準ずるので、他部署と同じような待遇で働けます。
あと、他社クライアントのWEB制作をするわけではなく、自社案件のみなので残業はほとんどなし、定時に帰るのも珍しくありません。
福利厚生が充実
大手企業なら、たとえばスポーツクラブの社員割引とか、日本全国のホテルを格安で泊まれるとか、健康診断とか…様々な福利厚生がありますよね。小さな制作会社に勤めていると、福利厚生ってなに? というレベルで何もない会社、多いです。
産休・育休・介護休暇が取りやすい
勤務先の会社が産休・育休制度を取り入れているなら、出産したら安心して産休も育休も取れます。あなたが休んでいる間、会社は契約社員やパートタイム社員を一時的に入れるだけ。あなたは安心してカムバックできます。
40代、50代になったときに介護休暇申請ができるっていうのは、デザイナーにとってはありがたいですよね。
年齢を気にする必要がない
WEB制作会社って、基本20代中心だったりします。30代だったらもうベテランで、未経験からの入社の場合、キャピキャピ系の20代と肩を並べて仕事をするの、しんどかったりします。
インハウスデザイナーなら、自社案件のみなので、自社の製品や広報にも詳しくなるし、社内でマネージャーに昇格して新人教育や部署をまとめたりといった役職で働き続けやすいと思います。
…と、ここまでメリットを並べてきましたが、デメリットが実は存在するのです。
インハウスデザイナーのデメリット
自分の思い通りにデザインするのが難しい
制作部だけの判断で動けないのがインハウス。営業や企画戦略などの他部署からの要望もあるし、制作部を下に見る(工場かなにかだと勘違いしている)人もいます。まれに。
デザイン以外の仕事もしなければいけない
WEB制作会社の場合、こういう事務的な仕事はプロデューサーやディレクターがやってくれます。
デザインだけやっていたい、事務仕事が嫌い、という人にとっては、「しんどい」「楽しくない」と感じる人もいるようです。
1日の中でデザインする時間が圧倒的に減り、もどかしさや寂しさを感じています。インハウスデザイナーになってから、欝になってしまい心療内科に通っています。正直、こんな風に辛くなると思っていませんでした。
稟議が通りにくい
規模が大きいだけに、書籍1冊買うのにも稟議書を書いて、何人もの許可を経ないと許可が下りない、なんてこともあります。いちいち「何のため?」なんて聞いてくるおバカな上司だと、「勉強のために決まってるでしょうが」と言い返したいところですが、社員のスキルアップのための書籍購入の重要性を理解しておらず「自分で買えば」みたいな上司もいます。
WEB上の経営戦略のための企画を出しても、小さな会社ならすぐにGOサインが出るのに、大きな会社だとなかなか許可が降りない、ということも。
実力がないと他部署に飛ばされる
WEBデザイナーとしてのスキルはもちろん、ABテストやUI/UXの知識、マーケティングの知識など、自社の売上がかかっているだけに大きな企業の場合は高度なスキルも要求される場合もあります。
とくにディレクターやプランナーの地位にいる場合、WEBでPVやCVRが上がらないと「実力なし」と思われて他部署に飛ばされたり、最悪リストラにも遭うかも!?
デザイナーとしてのスキルが磨けない
おそらく、インハウスデザイナーが一番感じている悩みじゃないでしょうか。
色々なジャンルの制作を請け負うWEB制作会社で働いているなら、女性向け、男性向け、20代の若者向け、高齢者向け、セレブ系、アットホーム系、金融系、不動産系、医療系、エステ・美容系など、まったく違うデザインが求められるので、常に新しいデザインを勉強できるし、スキルが磨かれていきます。
これってすごく重要で、ジャンルやターゲットが違えば、UIやUXも、マーケティングも勉強する必要が出てきて、知識が八宝に広がっていきます。
でも、インハウスデザイナーの場合、自社案件のみなので、自社ジャンルには詳しくなりますけど、他分野のデザインはちょっと…という感じになりかねません。
デキる先輩や上司がいなくて、自信がつかない
WEBデザインのスキルアップは、優れたデザイナーのレビューを受けること。経験豊富なデザイナーにレビューを受けることで、「なんだか今ひとつ」「綺麗なんだけど、洗練されていない」というデザインがグッと昇華できます。
インハウスの場合、上司がデザインを知らないとか、経験が自社モノだけだったり、そもそも上司がいなくて一人だけでやる、というところも少なくないので、デザインの勉強は手探りになります。
書籍を自分で買い込んで勉強することである程度はフォローできますが、やはり実践の現場でプロに指導してもらえる環境とはいえません。
自分で勉強しつづける、という意思がないと、インハウスデザイナーは給料は安定しているので、デザイナーとしては堕落していく可能性も。
フリーランスになるのは厳しい
単純に考えて、自社サイトのメンテナンスしかやっていなければ実績も作れませんし、スキルも上がらないので、自分自信が「フリーランスになるのは厳しい」と強く感じると思います。
WEB制作における工数見積なんて、内製化しているインハウスなら必要ないですから、まともな見積もりが作れない、ということも考えられます。
デザイナーとしてだけ、たとえばバナーやデザインだけ請け負うならフリーにもなれますけど、そういう仕事はライバルがたくさんいると同時に単価も安いので、「インハウスでスキルアップはできないけど、フリーになるよりまし」と、辞めるタイミングを失うデザイナーもたくさんいます。
フリーランスになりたいなら、インハウスでもガッツリ勉強できるような環境がマスト。
そういう希望を汲み取ってインハウスデザイナーに転職するには、クリエイター専門のエージェントに登録することで解決できます。
社長がワンマン&デザイン知識がなく、横暴
大手企業なら社長と直に話すことなんてないかもしれませんが、中小企業なら自社のWEBサイトというのは営業戦略で超重要なので、直接ミーティング等に参加することもあります。
で、社長や営業とか、デザインにまったく知識がないのに、知ったかぶりして「あーだのこーだの」と言ってくるのがかなり面倒です。
幸い、私の勤務先の社長はデザイナーに丸投げしてくれ、要点だけ伝えてあとは任せる、という感じだったのでかなり働き安かったですが、社長がワンマンで好き嫌いが激しいと、デザイン案を何度だしても「フィーリング」で却下され、その理由や根拠を教えてくれない、なんてブラック的な環境もあります。
残念な職場に転職してしまったインハウスデザイナーの未来
給料はそこそこ上がって行くと思います。他の職種と同じ扱いなので、長年勤務していれば、それなりの昇給もあるかと。ボーナスもあれば、実質使える有給休暇も、長い夏期休暇や正月休みも見込めます。
ただ、「楽だから」「給料がいいから」という理由だけで5年、10年と勤めて、35歳、40歳となったときに転職しようと思っても、WEBデザイナー職やディレクター職での転職は極めて厳しいんじゃないかな、と思います。
インハウスデザイナーでも、スタッフが複数人いて、それなりにスタッフを束ねて企画戦略を練るような経験があればいいですが、ただコーポレートサイトのマイナーチェンジや日々の更新作業だけやっているなら、ほぼ無理でしょう。
つまり、スキルアップができない環境で働くインハウス・デザイナーは、年を取ってから「つまんない、この仕事…」と思い始めても、デザイナーとしてのキャリアを元に次のステップへはいけない、というリスクを孕んでいるわけです。
若いときは「給料良ければいいじゃん」「安定してればいいじゃん」と思うかもしれませんが、若い時に考える「いい給料」って、年収400万円程度でも「いい方」なんて思っちゃいますから。
で、40代になったときに「年収400万円なんて低すぎ。やってられないから転職したい」なんて思っても、スキルなし、年齢ハンデあり、ってなるわけです。
で、自分よりも低い給料で終電の日々、うつになりそうなほど必死こいて制作会社で働いていたはずのWEBデザイナーが40代で独立して、「仕事も妻業も母業も楽しんでます!」みたいな逆転勝ちの姿を見て愕然とすることになります。
フリーランスになれば年収500万~1,000万円も射程範囲だし、会社というハコに縛られず、自宅やカフェで仕事をして、なんなら年に数回海外に行ってWEBデザインしてる…なんて人もいるわけです。
インハウスデザイナーに、そういう未来が待っているかどうか、といわれると、「どれだけ鍛えられるインハウスだったかどうか」の一言に尽きます。
残念な職場に転職してしまったインハウスデザイナーの解決策
残念ながら、前述したようなデザインスキルがまったく身につかない企業に勤めてしまった場合。その対処方法をお伝えします。
社長や関係者へのプレゼンスキルを磨く
WEBクリエイションを内製化するメリットは、外注にかける費用なく社内スタッフで全部回せる、ということです。
バナーひとつ作るんでも、外注に出すと1万~3万円程度かかるものが、インハウスデザイナーに回せばすぐに対応してくれ、かつ自社製品のメリットを熟知しているから、打てば響くデザインが上がってくる。
で、コーポレイトサイトがすでに出来上がっていて、なかなかド新規のWEB制作をさせてもらえないなら、社長や上司、関係者にプレゼンして、新しいサイトを作れる環境自体をあなた自身で作り出してしまえばいい。
たとえば
- LPサイト制作を提案する
- サテライトサイト制作を提案する
- クローズドの社内報WEBサイト制作を提案する
- WEB上での集客やマネタイズ可能な仕組み作りを提案する
などなど。
これらを提案するからには、デザインスキル、WEBマーケティングスキル、UI/UXスキル、企画力、プログラミングスキルなどが必要です。
仕事をしながら並行して勉強する環境を自分で作っちゃいなよ、YOU! ということですね。
ちなみに、これ、私がすべて実践したことでもあります。
最終的には自分で社内にWEB制作部を立ち上げ、外からの注文を受けるまでになりました。もちろん、上司へのプレゼンや勉強はかなりしました。
転職する
会社の体質がすでにオワコンの場合、転職しちゃったほうが手っ取り早いです。
クリエイター系の転職は、クリエイター専門のエージェント3社くらいに登録して、条件のいい会社を見つけることが鍵。
条件のいい、というのは労働環境もそうですが、この記事で書いているように「コーポレイトサイトの保守管理だけじゃなく、色々制作ができる」ということがポイント。
紙デザインもやらせてもらえるなら、尚良し。
WEBデザイナーは「工場じゃない」と自覚せよ
デザイン知識やスキルが全然ないのに、エラソーにモノ言う営業マンとかいますからね。自分の方が上、とやたら猿山の猿になりたがる奴もいます。
こういう人はどの会社にも一定数いて、会議など大勢人がいる前で他者をディスって自分をアゲる、ということをしたがります。
こういうタイプの人と仕事をするときに、相手の言い分をへーこら聞くだけの「御用聞き」になっていると、どんなにスキルを磨いても聞き入れてもらえない、ただの「工場」としか見られない、ということになりがちです。
こういう輩を説得するには、理論武装しかありません。
もともとデザインは「感覚的なもの」という印象が強い人もいますし、その背景に理論や戦略が詰まっている、ということすら分かっていない人もけっこういます。
- どうしてこのデザインがいいのか
- なぜこのモデルをトップ画像に採用するのか
- ボタンの色をこの色にしたのはなぜか
こういうのを、プロの立場からきちんと説明する。
猿山の猿系には、専門用語を散りばめるのも手です。専門用語並べて説明し「あなたの知識では到底WEB戦略は立てられませんよ」という雰囲気作りも大切です。
本来対等の立場にあるにも関わらず、オレオレ系の人は上から目線でプロのスキルをディスって自分アゲる、みたいな特徴がありますから、そういう人にナメられまくっていると、自分が働きたいように働けなくなってしまいます。
そのためには、上っ面ではない勉強を欠かさないこと。マーケティングも、ディレクションも、ライティングスキルも、キャッチコピーも、貪欲に勉強して知識を高めていってください。
残業がないのを有効活用! オンラインでインプットせよ!
インハウスデザイナーは、残業、ほぼないという人、多いと思います。
仕事が終わって家に帰ってから、WEBデザイナーなら「マーケティング」「UI/UX」「ディレクション」「プログラミング」などをオンラインスクールを利用して勉強するといいです。
すでにWEBデザインや制作のスキルはあるので、マーケティングやUI/UX等は知識を積み上げていく感じなので、抵抗感なく取り組めるでしょう。書籍での勉強でもいいんですが、オンラインスクールの良さは「最先端のツールを使って実務で使えるスキル」を勉強できる、ということ。
WEBデザイナーが働きながらスキルアップするのにおすすめのスクール
たとえば、私がWEBデザイナーの人にスキルアップとしておすすめしているのは、Webディレクションコースなんですが、インハウスデザイナーでディレクションをしたことがない人にはピンポイントで勉強できるのでいいですよ。
- メインビジュアルの撮影ディレクション
- 要件定義、提案書・設計書の作成
- ワイヤーフレーム
- 実務を想定した提案書・設計書・ワイヤーフレーム制作の実践
が学べます。
あとは、デザイン以外で、
- JavaScriptを極める
- RubyかPHPプログラミングをマスターして、必要な仕様やギミックを盛り込めるようにする
という勉強もしてみるといいです。
残業がない、というのは非常に大きな強みで、スキルアップのための勉強に使えますから。遅くまで残業していると、インプットの時間なんて到底取れずに、古いコードのまま書いているという人もけっこういますし。
働きながらオンラインのみでプログラミング系を勉強するなら
あたりがおすすめです。テックアカデミーならセットコースが単体受講よりも安いのでそれでもいいし、「ウケ放題コース」という色んなコースを受講できるお得なコースもあります。
コードキャンプも同様に、全部受けられるコースもあります。コードキャンプのコースは「CodeCamp コース一覧を見る」をご確認ください。
以上、ご参考になれば幸いです!